7/7~14 北海道 初夏の北海道虫採り旅行! 前編   

2014年 07月 15日
北海道の虫採りは採集記書かないって言ったんですけど、これだけは書こうかなと思います。
北海道行く前からあっためてた計画なんで( ̄▽ ̄)

一応昆研の採集記用に説明しておきますと、僕は5月から卒論研究の調査のため北海道に来ています。
8月中旬までと、院試後9月は北海道にいます。

で、せっかく北海道に行くんだし、調査だけしかしないのは非常にもったいない!
これまでもオオルリやらエゾヒメギフやらウスバキ撮影やらそれなりに行っていましたが、いよいよ北海道も夏。
北海道で夏の虫といえばやはりオオイチモンジでしょう。
ショウマなども咲いて、ハナカミキリもどんどん出てくる季節。

ちょうど調査も無い期間だと北海道に来る前からわかっていたので、この時期に出る虫を一気に狙うべく、長期間の虫採り旅行を密かに計画していました。
というわけで、約1週間の道北・道東方面虫採りその他諸々漫喫旅行スタートです。

7日


初日は9時ごろ出発。
明日のオオイチ採集をする丸瀬布で車中泊をする予定なので、そこから逆算してちょうどいい時間になるよう敢えての遅出。

まずは札幌付近にあるカシワ林を目指します。
この時期のカシワ林といえば、ゼフ。
北海道のカシワ林にはキタアカ、ハヤシミドリ、そしてウラジロミドリがいるとのこと。
キタアカは未採集種だからもちろん、ウラジロも昔にボロいオスを2頭採っただけだからこの機会にぜひ採りたい!

途中新千歳空港に寄って用事を済ませたりしながら、2時間ほどで現地に到着。

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海岸に沿って広大なカシワ林が広がっています。

車から降りるやいなや、目に飛び込んできたのはカシワの周りを飛ぶオレンジ色の蝶。
ああ、あれがキタアカか…!
周りを見てみるとかなりの数が飛んでいます。
ネットで調べて大量にいるってことは知ってたけど、ほんとにこんな飛んでるんだ…(゜_゜)

試しにカシワを叩いてみると、少し奥まったところにとまっているのか1秒ほどのタイムラグがあって3,4頭飛び出してきます。
条件の良いところでは一度に10頭以上飛び出してきました。

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キタアカシジミ Japonica onoi onoi Murayama, 1953

下草にも降りているのでこんな写真も簡単に撮れます( ̄▽ ̄)

キタアカはすぐに十分な量を採ることができました。
これはキタアカが多すぎて他のゼフを見つけるのが大変そうだな…笑

カシワを叩きながら歩いていると、たまにキタアカよりスピードが速い蝶が飛び出します。
あーファボニウスのなんかだなーってぐらいにしか分からないやつもいれば、妙に白くて、あ、ウラジロだ、とすぐに分かるような個体も。

しかしとまらん。
日差しはあるのですが、どうもすぐにとまる気配がありません。
よくゼフが来るポイントを見つけたのでそこで粘りますが、来たはいいもののそのままどこかへ飛び去ってしまうゼフがほとんど。
運よくとまっても、なぜか振り逃がす。
最近全然ゼフ採りに行っていないし、そもそもつなぎ竿自体全然使ってないから鈍ったか…?

そんな中で、ようやく目当てのゼフをゲットすることが出来ました。

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ウラジロミドリシジミ Favonius saphirinus saphirinus (Staudinger, 1887)

やった…!ようやく採れたぞ…!
完品ではありませんが、昔に採った個体に比べればかなり新鮮です。
こいつは♂でしたが、この後♀も採れて1ペア採集できました。

ウラジロ以外のファボニウスも数頭採れましたが、メスが中心。
今年エルニーニョで冷夏になるとか言われてたけど、北海道は気温が高めのようなので例年より発生が早まっている様子です。

ハヤシが採れてると嬉しいけど、ハヤシってこんな小さかったかな…という印象。
確実にハヤシだと分かる大型のゼフも目撃だけしてそのまま飛び去ってしまいました。

緑色のゼフ以外だとウスイロオナガとダイセンのシグナータ型も1頭ずつ。
ウスイロオナガは初採集だし、ダイセンのシグナータ型も狙っていたので嬉しいです。

ちなみに、ここの成果は浜に出るためのカシワ林を突っ切る道路のわずか2,300mの距離を行ったり来たりした成果です。
時間の都合で2時間弱しかいられなかったけど、これだけのゼフが見られるとは…。
ここは一日中いても飽き無さそう。ほんとはもっとウラジロ欲しいし。
他の人の写真とか見る限りだと、もっとよく採れる場所もありそうです。

ゼフも採ったしこのまま丸瀬布へ…行くわけではありません。
途中も少し寄り道。
けど虫じゃないです。

北海道をひし形としたときのちょうど南北の対角線に沿ったあたりでは、白亜紀に海だったころの地層が見られるそうです。
恐竜の時代で海、といえばアンモナイト。
北海道は世界的にもアンモナイトの多産地らしい。

ちょうど産地の近くを通るので、せっかくだからアンモナイトを探してみます。
写真はありませんが、北海道ではアンモナイトは沢の河原に落ちているらしい。
もちろんそのままじゃなくて、アンモナイトを中心に石灰岩が固まって一見すると石にしか見えないようなノジュールと呼ばれる状態で転がっているそうです。

特に割り出す道具も無いので、何かの拍子に割れて化石が露出したものとか、他の人の割り残しがないか河原におりて探してみると…

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本体ではなく外れた型の方ですが見つかりました。
ほんとに採れるのか…!
これで一応、古生代(大垣)・中生代(北海道)・新生代(瑞浪)と、どの年代の化石も掘り出したことになります。

苫小牧に戻ってから割ってみると、さらに出てきました。

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アンモナイト異常巻きの一部

一見するとウミユリか何かのようですが、うずまきにならない異常巻きと呼ばれるアンモナイトのようです。
7,8cmの長さで埋まってたけど、掘りだす時に真っ二つに割れてしまった(T_T)

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通常巻き

なんとかそれらしいのも。
もっと売り物であるような綺麗なのが見つかると良かったんだけど、そう簡単には行かないね。
他にはサメの歯や二枚貝なんかも見つかりました。
ここも1日かけて、ちゃんと道具も持って行ってみたいです。

今度こそ、丸瀬布へ向けて移動開始!
途中に旭川でラーメン食べようと思ってたけど、高速使わずに下道で行ったら行こうとしてたとこ時間遅くて閉まってた(T_T)
というわけで今夜からコンビニのパン生活スタートです笑

丸瀬布に着いたのは23時前。
明日の天気は晴れ予報、オオイチは採れるだろうか…?


8日

朝5時前に目が覚めました。

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後ろの座席を倒して荷台を拡張して、フラットな状態で寝れるようにしたので足のむくみとかは無いのですが、疲れがとれているのかどうかは微妙w

今日は本州では「一応」高山蝶に含まれ、限られた高標高の地域にしか生息せず、またその多くの地域で天然記念物に指定され採集が出来ないオオイチモンジがターゲット。
北海道では食樹のドロノキが低地でも広範囲に分布しており、オオイチも札幌周辺でも見られるほど個体数が多いです。
その中でも特に個体数が多いのがここ丸瀬布。
黒化型のクロオオイチが採れる層雲峡周辺もいいですが、とりあえず採るなら丸瀬布でしょう。

まだオオイチが飛ぶには早いですが、果実トラップをかけるため出発。
オオイチはどうやらクワガタやカブトを集めるような果実トラップに来るらしく、出発前に作って発酵させておいたのです。

林道沿いの空間が広がって日当たりのいい場所に仕掛けてみました。

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来るかな…?
この林道とは別の林道にも1つ設置。

このあとラウスオサ・アイヌキン狙いのオサトラも仕掛けて、時刻は8時過ぎ。
エゾシロが体をあたためるためにフキにとまっています。

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エゾシロチョウ Aporia crataegi adherbal Fruhstorfer, 1910

車で移動してみると、獣糞(キタキツネ?)にはシータテハやチャバネ系のセセリなど無数の蝶が。

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どうやらかなり蝶の数の多い場所のようです。

さらに奥の車をとめられそうなスペースまで移動する途中、路面に一際大きな黒っぽい蝶がとまっているのが目に入りました。
あ、オオイチ!
いきなりすぎてオオイチの手前では停められませんでした。
オオイチは車に驚いて飛び立ったものの場所にかなり執着があるようで、とまっていた周囲を飛び回っています。

急いで網を出してオオイチに近づくと、少し高い木にとまりました。
これならつなぎ竿3段くらいで届くぞ…!
この前は空中戦で失敗したけど、とまっているやつなら、でもゼフはかなり逃がしたっけ、不安になってきた…なんて思ってたら案の定逃げられました。はい。
網の位置も良かったし、網を振る前に飛び立つ様子もなかったんですけどねえ…。

あー丸瀬布でも逃げられるとは…。めっちゃ悔しいよおおお!

ただ、この時間からすでに地面に降りていることは分かりました。
これなら今日は採れるぞ…!

他の採集記なんかを見ているとトラップの前で粘るのが基本みたいなのですが、花掬いみたいに定期的に網を振ったりできない状況で待つのは苦手だし、地面に降りている個体を狙うなら歩いてなんぼだと思うので林道を歩いてみることに。
熊鈴、クマスプレーはしっかり準備しています。

道を歩いているとエゾシロ、ホソバヒョウモン、メスグロヒョウモン、シータテハ、カラフトセセリなど様々な蝶が飛び交っています。
その中でアザミにとまっていたのは…

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コヒオドシ Aglais urticae connexa (Butler, 1882)

やった、コヒオドシ!
オオイチと同じく一応高山蝶。
個人的にはオオイチ、コヒオ、ベニヒカゲ、ミヤマシロは高山蝶とは認めていませんが…。
割と標高低いとこにもいるし、そもそもオオイチとミヤマシロは高山帯だと高すぎていないし笑
オオイチに関して言えば、ホストが樹木なのに森林限界より上にしかいないタカネヒカゲとかと一緒くたにされてるのがどうもしっくりこない笑

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コヒオドシはかなりたくさんいます。

すぐに十分な量が採れました。
1時間くらいで見飽きた笑
カッコ良いんだけどね笑

しばらく歩くと、再びアイツが。
コムラサキやタダのイチモンジを一瞬見間違えることはありますが、本物を他の蝶と間違える事はまずないです。大きさが違いすぎる。

空中戦が駄目なのはわかってるから、ここは地面にとまっているところを狙うしかない。
かなり執着があるみたいだから近づいても逃げないだろうし、アオタテハモドキを採った時みたいにゆっくり網をかぶせるのがベストな気がする。

ターゲットは少しずつ移動しながら、しかし飛び上がることはせず、かなり夢中に吸水している様子。
十分近づいて、ゆっくり網をおろしていきます。
めっちゃ心臓バクバク言ってました。

予想通り逃げることは無く、しっかりと網をかぶせる事ができました。
網を揺らして飛び上がらせ、振り抜く!

網の中には、ばたばたと暴れるオオイチが。
ああ、この瞬間を何度想像したことか…。
ウスバキ採集の時にオオイチを採り逃がして以来、常に頭の中にオオイチが居座っていました。
あそこでオオイチと遭遇しなかったら、ここまで興奮することも無かっただろうね笑

それではご覧いただきましょう。
こいつがオオイチモンジだ!

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オオイチモンジ Limenitis populi jezoensis Matsumura, 1919

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写真悪いのは目瞑って。

イチモンジって名前ついてるのにタダイチやアサマとは全然違うこの白帯、裏面の綺麗さ、大きさ!
そして飛んでいる時の王者の風格!
飛び方はオオムラサキのそれとよく似ています。
あまり翅は動かなさないのに、スピードはそこそこ速い。
こっちに自分の綺麗さを見せつけるような、そんな飛び方です。

手が震えました。
憧れのオオイチが、今自分の手の中に…。
嬉しいなあ…嬉しいなあ…!!

一人山の中でオオイチかっけーなーとか騒いでましたww

車まで引き返し、逆方向(林道の入口方面)に歩いて行くと、地面にこんなものが。

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そりゃいますよね。
ちなみにこの直後、10mほど先の林道脇の藪で動物が逃げていく音がしました。
え…。

その後した鳴き声の感じだとシカだと思うのですが、万が一のことも考えてすぐに車に戻りました。
車戻るまではオオイチ採ったのとは別の意味で心臓バクバクだったよw
いいや、ガソリン食うけど車で超低速で林道走ろう。
オオイチいたら車からでも分かるわ。

車で走っていると、予想通りオオイチが地面に降りています。
獣糞に来ていて絶対に逃げ無さそうな個体も見つけましたが写真撮るの忘れました…。
あれが一番写真撮りやすいやつだったかも。

とろとろ走って昼前までで2頭追加。
1頭だけでも嬉しいのに複数採れるなんて最高だよ( ̄▽ ̄)

今度はもう1つのトラップを仕掛けた場所へ。

車で近づくと、その手前の地面付近をオオイチらしき蝶が飛んでいます。
けど、やけに白い…。
まさか、まさか!

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オオイチモンジ(♀)

うおおおおメスだ!!
え、ちょっとまってメスってなかなか地面に降りてこないんじゃないの、しかも発生時期遅いんじゃないの?
採れる想定すらしてなかったんだけど。
まじでか。奇跡かこれは。

オスよりも一回り大きく、白帯が太いです。
個人的にはオスの方がオオイチのイメージに合ってて好きだけど、デカいのは良いね( ̄▽ ̄)

この場所はオオイチはこの1頭だけですが、他の蝶はさっきの林道よりも多いようです。

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こんな集団で集まっているの、見たのはいつぶりだろう。
さっきの林道にもエゾスジグロの集団吸水場所があって、車で通るたびに紙吹雪を散らしたように舞い上がるのがバックミラーに映るので面白かったです。

しばらく粘って追加のオオイチが現れないので、元の林道へ。
2人の虫屋グループがいましたが一つの場所で狙っているようなので再び林道流し。

午前中よりも奥の方まで行くといるわいるわ…。
なんと午前中と合わせて9頭も採れてしまいました。
条件良い日だと1日で数十頭とか見れるときもあるみたいだけど、これだけ採れれば十分だよ。
空中戦でも1頭採ることができて、「オオイチに空中戦を挑むと失敗する」というジンクスにならずに良かったです笑

「採る」方に夢中でしたが、一応証拠写真も…( ̄▽ ̄;)

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オオイチ以外にもホソバヒョウモンやコヒオドシなど、採りたかった蝶が多く採れて良かったです。
途中三角紙足らなくて折ってたら車にシラフヨツボシヒゲナガ飛んでくるし笑

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シラフヨツボシヒゲナガカミキリ Monochamus urussovii (Fischer,1806)

夜は採った虫の整理やジャンプ読んだりして22時過ぎに就寝。
明日はさらに東の方へ行って、とあるカミキリを狙います。
天気曇りっぽいけど…


9日

この日も朝は5時前起床。
しらばくだらだらして、東に向けて出発です。
ターゲットはムツボシアオコトラカミキリ。
丸瀬布では雲一つない晴天だったのですが、山を越えて十勝管内に入った瞬間ドン曇り(T_T)

しばらく待ってみましたが雲が無くなる気配もなく、花にも何も来ていないので再び丸瀬布へ。
あーガソリン代が…。

来る途中に何個か見つけた土場も寄ってみましたが何もいません。
シラフヨツボシヒゲナガとかがうじゃうじゃいるイメージだったんだけど…。

結局丸瀬布に戻ってきたのは午後3時ごろ。
丸瀬布でも雨が降ったようで、1往復だけ林道を走ってオオイチを1頭追加しただけ。
今日は東京からのゲスト2人と合流するので一度旭川へ戻ります。

旭川のガソリンスタンドにリンゴシジミの死骸が落ちていました。

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リンゴシジミ Fixsenia pruni jezoensis (Matsumura, 1919)

状態は良さそうなのでお持ち帰り。

夜は旭川も雨。ゲスト2人と合流して、旭川の居酒屋へ。
色々北海道らしいものが食べれたし、面白い話きけて良かった!
明日・明後日は3人で大雪のオオイチを狙います。
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by taiyaki-i | 2014-07-15 15:26 | 採集記